「じゃあ、どうして……?」


どうして今になって……。

それに、カイトの意識の中に隠れてたのであれば、どうして私に話しかける事ができたというのだろうか。


『実亜』


澄んだ空気が私を包む。

その空気は私の頬を優しく包み込み、やがて、瞼に何か柔らかなものが触れたーー気がした。


『目を開けてみて』


目……?


言われた通り目を開ける。

開けた先は相変わらずの闇……のはずだけど、徐々に何かが姿を現した。

まるで蒸気でも昇るように、黒の中で白いものがゆらゆら、と。

それは徐々に形を作り、徐々に表情を露にしてゆく。


「……ミ、ア」


白い蒸気は私と同じ背格好で、私よりも長い髪で、私と同じ顔だった。

ちゃんと声も聞こえるようだ。

私の言葉に反応して、目の前の白い私は微笑んだ。



『やっと、会えたね』