きのこ部の模擬店では、きのこ部憧れのきのこ博士・大塚万里が、かれこれ30分ほど話し込んでいた。


もちろん、きのこの話である。


校内にきのこ栽培用の原木を持つきのこ部を、万里は知っていてこの学園祭に来ていた。
何度も手紙をやり取りしている程、きのこ部の方も万里の大ファンだ。

だから迷惑どころか、もっと居て欲しい‥‥むしろ、特別顧問をお願いしたいぐらいである。


今日は万里の妻の加奈子が産後間もないため、3歳になる長女の瑞希だけを連れてきた。

遊びたい盛りの瑞希を、自分が休みの日ぐらい、外で遊んでやろうと思ったのだ。
瑞希も、忙しくてなかなか会えない父親と出掛けられると、喜んでおめかしをしていた。
小さな肩に背負われたリュックサックに、大切にしているハンディ図鑑まで入れて。