人の流れを離れ、脇に移動する。
泣きはしないものの、目の端が真っ赤だ。


「瑞希さん、おやつのフワフワ、取りに行きますか?」


まだ自分達は校内にいる。
遠くない距離だし、きっとまだ置いてあるだろう。
迎えに行った時には持っていなかったから、どこかに置き忘れたに違いない。

取りに行くという言葉に、真っ赤な目のまま頷いて、2人が元来た人の流れに乗ろうとした時。


「なんかきのこ部やらかしたらしいぜ。」

「食中毒??」

「救急車来てるらしいよ!」

「ついに廃部かー。」


高校生達が、ざわざわと同じ方向に向かって行く。
瑞希を向いていた万里は顔を上げ、その方向を見た。

確かに、きのこ部が、と聞こえた。

食中毒を起こすようなきのこは、あそこに無いはず。
気になるきのこはあったが、今すぐ特定の条件下で食べなければ、ただの美味しいきのこだ。