まだぎんなんを食べてはいけないと、教えたのはもちろん万里だ。
ぎんなんに含まれるギンコール酸は、幼児が食べると中毒をおこしやすい。
食べたからと言って死亡するという訳ではないが、苦しむ娘を見たくない。
知っていれば回避できるのなら、教えておきたい。

かぶれだって、体質では全くおこらないし、かぶれる人は、翌日だってかぶれる。
まだ３歳の娘の体質はわからないし、心配するに越したことはない。

ふと、瑞希が足を止める。
繋がれた手が引かれ、気になってそちらを見れば、泣きそうな顔。


「どうしたんです？」


どこか痛いのか。
まさかかぶれたのか。
何か忘れ物か。


「きよらおねえさんにもらったおやつ‥‥おやつのふわふわ‥‥」


どうも忘れ物のようだ。
おやつのフワフワが何なのか、詳しい特徴を聞き出さなければ。