「救急車の前に、その状態をきのこ部の連中に見せてみたらどうです?」


物腰は丁寧だが、言っていることはキツい。
まともに立っていられないのに、模擬店まで歩いて行けと言っている。


「そうすれば、あなた方の大嫌いなあの部は、間違い無く廃部でしょうね。」


なんならお供しますよ、と。
伊奈は口元だけで笑う。

教頭は良いことを提案されたと、のぼせた頭で思ったらしく、教師の一人に命令した。
かわいそうなその教師は、教頭に従って、フラフラと歩きながら、職員室を出て行く。

その後を、救急車も警察も呼ばず、伊奈は静かに追っていった。