教頭のデスクの横で立ち話をしていた2人も、顔が赤いと騒ぎ出す。

荒い息遣い。

激しい動悸。

立っていられないのか、座り込んでいる。

伊奈は面倒だという表情を隠さずに、そちらを向いて状況を確認した。

茹でたタコのように、首もとから真っ赤な顔で、教頭と教師2人が胸元を押さえている。


「い‥‥伊奈先生、救急車を‥‥!」

「くそっ‥‥なんだこれは‥‥」

「毒だ毒!‥‥警察も呼べ!!」


よほど辛いのだろう。
だが、3人は荒い息をしながらも、こうなった原因をきのこのせいにして、きのこ部廃部を訴えている。

普段威張り散らしている教頭らの、無様な姿。
伊奈はそれを鼻で笑い、静かに歩み寄った。