「なかなかおいしいきのこですな。」

「あの無駄な部も、粘りますねぇ。」

「さっさと廃部にするべきだったが、このきのこに免じて、しばらく存続を許してやるか。」


そうですね、と、笑い声が、4人だけの職員室に響く。

校内の見回りから職員室に戻った教頭と、その取り巻きの教師が、きのこ部から渡された焼ききのこを肴に、グラスを傾けた。

その中に、伊奈の姿もある。

教頭の取り巻き‥‥という訳ではないが、いつの間にか一緒くたにされていた。
業務上ついて回ることが多かっただけなので、他の2人のように、話に合わせて笑うこともない。

一人少し離れた自分のデスクで、湯のみの緑茶を飲みながら、書類に目を通している。