「…なぁ、中月」

僕は、降りだした雨に身を打たれながら言った。

「僕は君の喜ぶ言葉すらも言えなかった。」

「この手で抱きしめてやる事もしなかった。」

「愛を囁く事もしなかった」

「…なのに、愛してくれていたのか?」

こんな僕なのに、好きと言ってくれていたのか?

僕を想って死んだのか?

中月は、幸せだったのか?

こんな僕を…愛していてくれてありがとう。

こんな僕を…想ってくれてありがとう。

「…なぁ、死ぬとかなしだろ?」

「…なぁ、中月っ!!」

「まだ、楽しい事があったかもしれないじゃないか!!まだ、幸せな事があるかもしれないじゃないか!!」

「死んだら何にもならないだろ……」

「愛してるとも言ってやれないだろうっ!!」

「返事をしてくれ!!中月っ!!」

愛は、無力ではなかったんだ…。

愛で生活だって…どんな貧相なものでも出来たんだ。

僕は、君の身分しか考えていなかった。

君は、僕自身を愛してくれていたのに。

分かってるさ…

君はもう、笑いかけてはくれない。