―――５年後……

「金城正輝と申します」

中月の君が住んでいた屋敷に正輝が現れた。

「中月と離れてから必死に勉強をし、官位をとれるまでに上がってまいりました。中月と結婚させて下さい」

正輝は、翁と乳母に頭を下げた。

「…中月はもう、この世には居ません」

「…え？」

「５年前、貴方との関係を聞いた時、私達は中月を監禁しました。」

「何故？」

「貴方に会いたいと泣き叫ぶからですよ。」

乳母は軽く瞬きをして、また口を開いた。

「上級貴族と貧民農家なんてあり得ないでしょう？」

「…はい」

「だからよ。」

「…それが何故、死に？」

「あの子は、本当に貴方を愛して居たのよ…。貴方に会えないなら…と言って自ら舌を切ったの。」

「…。」

「笑いながら、『愛の為なら死ねるのよ』と言ってね」

「貴方達が中月を殺したんですか？」

「…。」

「最低な方です。」

僕は、席を立ち行く宛もなく歩いた。