「翁っ…出してっ!!」

「駄目です。乳母様から言われておりますので」

「正輝様に会いたいのっ!!」

「会わせられる訳がないでしょう!!」

「お願いよ…翁」

「駄目です」

「…正輝様の事をこんなにも愛してるのに、どうして身分の違いで判断されなくてはいけないの?」

「…そういう世界なんです」

「…こんな事なら一層。。。」

正輝様に会えないならば…………

バタンッ……

「中月の君っ!?」

「大変ですっ!!中月の君が倒れましたっ!!だれか僧をっ!!」

「きゃあっ………息をしてませんっ!!」

「舌に歯形がありますっ」

「舌を噛んで……自殺か」

「嫌ですわ!!中月の君様っ」

「…のよ」

「!!今、中月の君様が喋りましたっ」

むくっ…

中月の君は、焦点が合ってはいない目でにたぁっと笑った。

「愛の為なら死ねるのよ」

バタンッ……

その一言を言って、また中月の君は倒れた。

もう二度と喋る事はなかった。