「こらっ!!藤咲花っ…この布がまだ縫えてないじゃないのっ!!」

「…ごめんなさい」

「ったくもうっ!!」

お母様は私に布を投げつけ何処かへ行った。

私の名前は、藤咲花…この貴族社会の中で私は、母親から虐待を受けている。

そんな母が嫌いだった。人間が嫌いだった。

「藤咲花様、お入りします」

「少納言…」

「藤咲花様、東宮正忠様が来ておられます」

「…へっ?」

すると、少納言は私の耳元で

「彼氏GETですね」

と、くすっと笑い東宮様を通した。

「こんにちは。藤咲花の君」

「…どうも」

「綺麗なお方だ。」

「…はぁ」

「初めまして、東宮正忠です」

「正忠様…ですか」

「…はい。やはり噂通り美しい」

「噂…?」

「はい、今、都で藤咲花は美しいと言う噂が流れています」

正忠様は、ひとつひとつの言葉使いがお綺麗だった。