「会いたかった…桜の宮」

夕壺さんは、私と出会ってから、その言葉しか言わなかった。

「夕壺さんにそう言ってもらえて桜の宮は幸せです」

夕壺さんの肩にそっと頭を置いた。

「愛してるよ…桜の宮。出会った時からズット君しか考えられなかった」

「夕壺さん…」

夕壺さんは、私にそっと口付けをし、優しく十二単を脱がした。
「風邪をひいて辛かった処に、君が来た」

夕壺さんは続けて言った。

「災いを転じて福となす…その言葉にピッタリだ」

夕壺さんはまた、私を壊れ物を扱うように優しく抱いた。