でも、後ろからふわりと温かな体温が私を包む。 それは大好きな廉の腕。 …っ……なんで…? 「…ありがとう。ごめん。」 廉は私の耳元でそう言い私から腕を離す。 そのせいで振り向かないと決めていたのに私は振り向いてしまう。 廉は私が見たかった笑顔を私に向けてから走り出した。 …真綾のもとへと。 『…好き、廉。』 私は廉の走る背中を眺め、涙を堪えながらそう呟いた。