合格を確認したその日、それは突然ベランダのガラス戸を勝手に開けて現れた。
「悠ちゃーーーん!!合格おめでとー!!!!」
パン!!パパパパパパーン!!
クラッカーを3本ほど片手に持って、盛大に鳴らしながら部屋へと入ってきた。
「…………」
あたしは言葉を失った。
……なんで、こいつ…あたしが受かったこと知ってる………?
まだ言ってないし、トウには友達なんて多分いないのに……トウの情報網はおかしいと思う。
そんなあたしの様子を気にも止めず、トウは意気揚々とした様子でズカズカと部屋に上がり込む。
「…あれ?悠ちゃんの反応がない……これってまさか…………感動した……!?」
トウは勝手に自分の妄想を口にして、嬉しそうに瞳を潤ませている。
……さて、どこから突っ込もうか…。
とりあえず、否定しておくか。
「…とりあえず、違う。」
「えっ…?大学合格したんじゃなかったの!?……ご、ごめん、俺ってば…!」
「いや!そこは合ってるんだけど!!」
自分の情報網を疑い、あたしを腫れ物に触るように対応しだしたトウに即刻否定する。
なぜ自分の妄想が間違っている可能性を疑わないのか……。
プラス思考すぎて付いていけない。