あたしの様子を見て、彩音は優しく笑った。






「悠は普段から私のことを気遣ってくれるけどさ…そんなに気を使わなくても良いよ?悠に悩みがあるなら、私が聞きたいだけだから。」





そう言ってもらえて、少し安心する。
あー、彩音があたしの友達で…本当に良かった。







あたしと彩音は休憩時間に屋上に向かい、誰もいない屋上に二人きりになった。
春の陽気があるものの、今日は風が強い。だから、誰も屋上に来ていないらしい。





風に吹かれながら、手すりを掴み、屋上から眼下に広がる街並みを無言で眺める。



いつ話し出そうかと空気を伺っていると、促されるように彩音が頷いた。






「あのさ…あたし、今、悩んでることがあって…。」





「…うん。」







「将来のことなんだけど……彩音は、何かやりたいこととか…決まってるの?」





彩音は屋上から見える街並みを眺めながら、少し困ったように笑った。





「えぇ?うーん……私、イマイチわかんないからさ、大学行って考えよーと思ってるんだよね。」





「えっ?じゃあ大学は何を専攻するの?それは考えてるんでしょ?」





「なんか、就職に有利そーなところで良いかなって。ITとか?」