言葉を濁しながらもそう答えると、トウは明らかに絶望した顔をした。
とにかくショックを受けているのは分かる。





少し、様子を見ているとうつむきながら、一人でボソボソと喋りだした。






「……もっとちゃんと言わなきゃダメだったんだな…。だって、そうだよ。悠ちゃん、恋愛感情で好きな人出来たことないもんね……。あれって、単にイイ人がいなかったってワケじゃなくて、普通に好きの違いを分かってなかったからなのか……知らなかったなぁ。知らなかったなぁ。くっそ、あのシスコン弟め…!」






よく聞こえないけど、怖っ!
一人言、怖っ!!








そう思いながら何と声をかけようか迷っていると、トウが顔を上げた。


その顔は、もう絶望しているものではなかった。





「じゃあ、俺…これからもっとちゃんと愛を伝える!俺は、恋愛感情で悠ちゃんが好きだよ!」





「……あ、うん…。」






トウは今までちゃんと恋愛感情での「好き」だと言わなかったのが悪かったと反省し、メンタル復活したらしい。




だからと言って、恋愛感情の「好き」というものを理解できていないあたしが、どう返事をできるようなものでもなかった。





そんなあたしの曖昧な返事でも、トウはニコリと笑った。