次の日、あたしはトウにお礼を言った。
トウは、少し驚いていたけど嬉しそうに微笑んだ。
「俺は悠ちゃんのためなら…、好きな人のためなら俺は頑張れるよ。」
トウの少し照れたような笑顔。
好きな人のため…かぁ。
その感情は、どういった意味の「好き」なんだろう…。周りの友達のような恋愛感情なのか、家族愛みたいなものなのか……。
「ねぇ、トウの言ってる好きって何なの?」
「……え?」
あたしの突然の質問に、トウの顔が笑顔のまま固まった。
「え……?悠ちゃん?それって、どういう……」
「は?…だからー、トウが言ってる好きって、家族愛的な意味で?それとも、恋愛感情?」
少しの沈黙。
セミの声が、ミンミンと無音の空間に広がる。
質問し終わる頃には、トウはすっかり頭を抱えていた。
「……悠さん。」
「はい?」
何故か改まった呼び方をするトウに疑問を感じながら、あたしも敬語で返事をする。
「……俺さ、この一年間悠ちゃんのこと好きって言ってきたよね?」
「?うん。そうだね。」
「どういう意味で言ってるか、今までずっと分かってなかったってこと?」
「あー……まぁ、……そう、なるかな」