「いだだだだだだだっ!!!!」
突然男の人の悲鳴のような大声があがり、お祭りの喧騒はなくなり周囲がシーンとする。
そして周りの人は驚きの目でただひたすら声の主を見つめていた。
声の主である男の人は背後を取られ、悠の右腕を掴んでいた左腕を背中で捻られていた。
そして、悠がグッと力を込めるとあらぬ方向に腕がねじれかける。
「あだだだだっ!ごめんなさいぃ!だから離してっ」
男の人はその痛みでさっきから大声をあげていた。
痛みで声をあげ、顔をゆがませる男の人と、それを冷たい目で見つめる悠。
周囲はそれを見て、どういう状況か分からず仲裁にも入れない。
…たった一人を除いて。
「ちょ!悠ちゃん!」
「………トウ…?なんでここに…?」
あたしから見える正面側、そこに立っていたのはトウだった。
さっき聞こえた声は、トウの声に似ていたとは思ったけど…まさか本当だったとは……。
腕の力は緩めないまま驚きを隠せず、トウのことをあたしは見つめていた。