「いや、別に何もいらないので。」
「オネーサンつれないねー。そのポーカーフェイスも素敵だよー」
断っても男の人たちは全く諦めない。
……そろそろどこか行ってくんないかな…。
どうやったら上手くあしらえるのか考え、彩音のことを引き出して断ろうと決めた。
「…あの。あたし、これから人と会うので、これで。」
男の人たちの横をすり抜けて通ろうとした瞬間、男の人の一人…ずっとあたしに話しかけてきた男の人が、あたしの前に立ちふさがった。
あたしの苛立ちが少しづつたまってくるのを感じた。
そして、不意に右腕を掴まれる。
「!!」
「ねー、ちょっとだけ付き合ってよ、オネーサン★」
「ちょっ…!悠ちゃ…!」
その瞬間、背後で聞き慣れた声が聞こえた。……気がした。
でも、あたしは止まれなかった。