その『可能性』を確認するため、念のために質問する。
「あのさ…それってあたしで間違いなかった?」
「うん!俺の目に狂いはないさ!」
高木くんは自信満々な顔で頷いている…。
何にそんなに自信を持っているのか疑問だけど、あたしで間違いないのなら………
「それ…あたしの弟だよ」
「えぇ!?弟!?」
昨日、あたしは愛と夕ご飯を食べに街に出た。
多分それを見られて、愛を彼氏と勘違いされたんだろう。
弟だと知らされた高木くんは、すごくすごく驚いていた。
そして、周りでその話を聞いていたのか、他の男子も寄ってきた。
「えー!あんなカッコいい弟いんの!?」
「年下だったの!?」
「マジかー!お似合いすぎて倉本さんの彼氏かとガチで思ったし」
「えっ、じゃあそれってまだチャンスあ…モガッ!!!!」
「こんのバカ…!あ、ありがと、倉本さん。じゃ!!」
なんかよく分からない盛り上がりをあたしの机の周りで繰り広げていたけど、途中で一人の男子の口を手で塞いで、焦ったように全員撤退していった。
「………何あれ?…まぁいっか。」
あまり気にせず、一限目の教科書の準備をしていると、隣の席のあたしの親友、綺音(あやね)が登校してきた。
「おはよー、悠!何なにー?朝からモテてるねぇ?」
綺音はさっきの男子と話す様子を見ていたのか、からかうように言ってくる。