その言葉を聞いて、あたしはビックリした。







トウが突然現れたことに気付いた人がいたことが嬉しかった。
それは先にも後にも、愛だけだったけど……。






そして愛は、トウが人ではないのではないか…ということにも気付いていた。







愛には隠せないことだと確信したあたしは、前日にトウに出会ったことを話した。






トウと男風呂で会ったこと。
温泉の妖精だということ。
昨日が初対面なのに、昔から住んでいるように周りが扱っていること。






愛は特に驚く様子もなく聞いていて、納得したように頷いていた。







「ふーん。…ちょっと前から男風呂で感じてた、変な感じは気のせいじゃなかったんだ。妖精……」






愛にとっては、人間も幽霊も、ちっちゃいおっさんも妖精も、特に分け隔てのない存在らしい。





愛をふと見やると、口元に手を当てて少し考え込むような仕草をしていた。







「愛……?」




「でも…”あれ”は妖精って感じじゃないんだけどな……」




「え……?」






そこまで言葉を紡いで、愛は沈黙した。