「……姉さん。」
「あぁ、愛…」
「あぁっ!愛くーん!久しぶり〜」
愛の姿を見たトウは、とてもとても嬉しそうにドアの方へと駆け寄った。
愛は、そんなトウを無表情で見つめている。表情はないものの、トウを見つめる視線が冷たい……。
そしてトウがドアの前に着いた瞬間、愛は自分で開けたドアをササッと閉めた。
「ふぎゃ!!!!」
ベシン!という音とともに、トウが勢い余って閉じられたドアに激突する。
今の悲鳴は、トウがあげたものだった。
「………〜っ…!」
地味に痛みが継続しているらしく、
トウが静かにうずくまった。
室内は無音になった。
その無音に、ドアに遮られて見えないけれど全てを理解したのだろう。
愛がドアを再び開けた。
そして、愛はドアのすぐ側で痛みにうずくまっているトウをチラリと一瞥した。
「………ごめんね、トウくん。」
愛は無表情で謝ってはいるけれど、トウを見るその瞳は……とても嬉しそう…。
だけど、そんな弟のあからさまな悪意などに怯む妖精ではなかった。
もはや、悪意になんて気付いていない。