「あー……とりあえず、トウがバカだってことは分かったから。お祝いありがとね。」
「バカ…!?悠ちゃんひどすぎ!何、その雑なお礼!!」
「あーハイハイ。」
トウが噛み付いてきたけど、あたしはそれを聞き流す。
しばらくの間ずっとあたしは勉強ばかりで、トウがあたしの部屋にやってきても会話もなかった。
受験勉強をしている頃、トウは珍しく空気を読んで、あたしの部屋にいる時は常に大人しくしてくれていた。
今日は久しぶりの会話でもあった。
だからなのか、なんか馬鹿馬鹿しい内容の会話さえも楽しく感じる。
トウも楽しそうに見える。
それに、なんか嬉しい。
……やっぱり、何となくだけどトウに対しては前とは違う感覚がある。
前は、話しても嬉しいなんて思うことなかったのに…。
この気持ちって……一体……
分かるようで、よく分からない。
ーーーコンコンコン。
そんなことを考えていると、あたしの部屋のドアをノックする音がして、あたしとトウはドアに目を向ける。
すると、勝手にドアが開いてノックの主、愛がヒョコリと顔を出した。