あたしを見てた?
それって…一体……
「……なんで?」
残念ながら、あたしには全く理解できなかった。
目の前の男の子、トウは少し困ったように視線をそらした。
なんか言いにくそうなのは、見ててわかる。
「俺は…よ、妖精だから、温泉のことが大好きな人はわかるんだ。君は、温泉が…この銭湯が好きでしょ?」
「そりゃ好きだけど……。」
あたしがそう答えると、嬉しそうにトウはコクコクと頷いた。
「そうそう!毎日楽しそうに清掃してるでしょ?それをずっと見てて、会いたいな。話してみたいな。可愛いな…って思ってて」
なるほど……。
妖精だからわかるんだ…。
まぁ、温泉好きなひとと会いたい。
話したいっていうのは、あたしもわかるけど……
「……最後の可愛いっていうのはおかしくない?」
あたしの疑問に、トウは恥ずかしそうにしてる。
「いや…遠目で見てて可愛いかもと思ってたら、間近で見てもほんとに可愛いから……いやー、参ったな。」
………?
参った?