「私だって遼に教科書貸すとか死んでもいやよ!」

2人の言い合いを聞きながら私は古典の教科書を探す。

「はい。」

「お、ありがとうな。誰かさんとは違って杉さんは優しいわー。」

「…誰かって誰よ。」

「あっ怜夏にかまってる暇ないんだった。じゃあな!」

慌ただしく教室を出ていく中野くんの後ろ姿を私は見つめる。