高校3年生になった。
アタシには、2人の仲間がいる。
友達でも、親友でも無いけど。
ただ・・・騒いでるのが楽しいだけ。
仲間の名前は、門倉奈々と中山沙織。
奈々は喧嘩は強いわけじゃないけど、
人を不幸にするのが得意。
沙織は、アタシの幼なじみ。
強いアタシを尊敬してるらしい。
「亜紀ー、午後からサボろ」
「今日はやめとく」
「は?ノリ悪いなー」
そして、アタシの名前は桜井亜紀。
「ごめん」
奈々の言葉を聞かずに、屋上に向かう。
奈々は沙織を連れて、教室に入った。
「やっぱ1人が楽だ・・・」
屋上の柵によりかかり呟く。
しばらくボーッとしていると、
誰かがアタシの肩を叩いた。
「亜紀ちゃんも朝からサボりー?」
「・・・誰」
「ひどいなー!進級して、クラスメートになってもう2ヶ月なのに」
「ってかさ、あんたにサボりって言われたくないんだけど」
追い払うように睨みつけても、
笑顔でこっちを見つめてくる。
普通なら、怯えて逃げ出てくのに・・・。
何か調子狂う。
「ウチの事は真央って呼んで」
「無理」
「じゃあ、真央ちゃん!」
「嫌」
「んー、永原ちゃん?永原?」
「あのさ、いい加減にしろよ!!」
持ってた鞄を柵に投げつける。
彼女は途端に真顔になり黙りこんだ。
「ごめん、亜紀ちゃん。ウチはただ、亜紀ちゃんが心配で・・・」
「心配されるような事してねーよ」
「屋上に毎日来るでしょ?亜紀ちゃんさ、毎日同じ表情してる」
「何言ってんだよ」
彼女のまっすぐな視線が離れない。
自分の感情が丸出しなのかと不安になった。
「いつも何考えてるの?」
「あんたに関係ない」
「じゃあさ、ウチがここに来る理由・・・教えてあげる」
彼女は空を見上げて目をつむる。
「長く生きられますようにって、神様にお願いしてるの」
「あんたさ、まだ若いんだし・・・病気でもないのに簡単に死んだりしないだろ」
「亜紀ちゃんは逆の事考えてる」
見事に言われてしまった。
確かにアタシは考えている。
ずっと前から・・・どんな時も。
「透視能力あんの?」
「無いよ、そんなの」
彼女は笑って答えた。
私は真面目に聞いたつもりだけど、
そこは別に良いや。
「早く死にたい・・・そう思ってる」
「ウチは生きたいよ。何が何でも」
アタシはまだ、彼女が何故こんなにも
生きたいと願うのか知るはずがなかった。
彼女は大事なことを
アタシに話してくれなかった。