「桜井さん、教室で一緒にお弁当食べない?」
「前から話したいなって思ってたんだよ?」
「門倉さんより、ノリ良さげだし」
何だよこれ・・・ドッキリのつもり?
それとも、恐がってるのを隠そうとしてる?
永原は、自分の弁当を持ってどこかへ行った。
「何か企んでる?」
クラスの奴らは周りを見渡して
小声で話した。
「真央ちゃんをいじめようとしてる訳じゃないの。桜井さん・・・これは」
良い所で誰かがアタシの背後に立ち、
クラスの奴らは急いで席に戻った。
「あれー、永原真央居ないね」
奈々だった。
廊下までアタシを引っ張った。
「亜紀、クラスの奴らまで味方につけんの?」
「味方とか敵とか無いし」
「・・・奈々は亜紀の味方だよ?だから、亜紀も奈々の味方だよね」
中学の時と同じ声。同じ喋り方。
やっぱり、奈々は昔の奈々の方が良い。
「アタシは・・・」
でも、奈々は壊れてるんだ。
素直にこんな事を言うわけない。
「誰の味方でも無いし、敵でも無い」
「・・・カッコつけてんじゃねーよ」
そう良い放って、奈々はまた帰った。
やっぱり、奈々は友達じゃない。
友達には二度と戻れないのかもしれない。
屋上に行くと、永原が寝転がっていた。
「サボり?」
「サボりって・・・まだ昼休みだよ」
「分かってるよ。ただ、出会った時を再現・・・みたいな?」
今度は苦笑いじゃなく、
本当の永原の笑顔が見れた。
「ウチ、皆に嫌われたのかな」
「ネガティブな発言は、永原らしくないな」
「いつも元気な訳じゃないから」
「じゃあさ・・・死にたいと思う?」
永原は首を横に振った。
「生きたいならさ、逃げんなよ。嫌われても笑ってりゃ良いじゃん」
「意味分かんない」
「・・・笑えるのは生きてる証だから」
「ますます分かんないよ。亜紀ちゃんは、生きてるのに、笑わない」
「アタシは半分死んでる。現実から逃げてるから・・・これ、永原が言ったんだからな」
永原はごめんと呟いた。
別に謝ってほしかった訳じゃ無いけど、
アタシは応答せずに、黙っていた。
「ウチ、教室戻るね」
一応、手だけは振っといた。