「・・・」
「亜紀ちゃん、泣きたい時は泣きなよ。笑いたい時は、素直に笑って?」
「死にたいと思ってるのに、笑えるかよ」
「逃げてるだけでしょ?本当は、死ぬ気なんて無いのに、現実を見たくないだけなんだよ」
「・・・あんたに何が分かんだよ!」
勢いよく立ち上がり、
椅子が後ろに倒れた。
「分かるよ!友達を失った苦しみは分からない。でも・・・親を失ったのはウチも同じだから。親が自殺した時は、正直死にたいと思ったよ?でも、赤ちゃんだった真里が居たから・・・この子のために生きなきゃって」
永原の肩は震えている。
アタシは永原に声をかけずに病室を出た。
「何なんだよ、あいつ」
イライラしながら家に帰った。
家に入ると、妙に静かだから
リビングの様子を見たけど誰も居ない。
「真里、真里ー!どこに居るんだよ」
名前を呼んでも返事すら聞こえない。
昔と同じだ・・・親が出てった日も
こんな感じだった。
「居るなら、返事しろよな」
すると、階段を降りる音が聞こえた。
廊下に出てみると、真里がぬいぐるみを
抱えて駆け寄ってきた。
「亜紀ねーちゃん、おかえり!」
「ったく、居なくなったかと・・・」
「眠かったから、お布団のあるお部屋探してたの・・・ごめんなさい」
アタシは真里をそっと抱きしめた。
「1人で怖かったの」
「分かるよ・・・ごめんな。遅くなって」
まだ眠そうにしている真里を
部屋に連れていき、眠るまで側に居た。
「この姉妹は・・・心配ばっかかけやがって」
ムカつくけど・・・安心した。