「ウチと亜紀ちゃんって友達?」
「アタシに聞くなよ」
「誰に聞けば良いのー?あ、奈々ちゃんと沙織ちゃんとも仲良くなりたいなー」
永原は奈々に嫌われてる。
もし、近づいたりしたら・・・
奈々は確実に永原をいじめる。
「奈々ちゃんってさ、目力凄いよね!」
「あのさ、永原。あんま・・・アタシ達に関わらないでくれる?」
「関わってるのは亜紀ちゃんの方でしょ?妹を助けてくれたし、さっきも手伝ってくれた。一緒に帰ろって言ったのは亜紀ちゃん」
言われてみれば・・・納得してしまった。
永原は笑っている。
「私が生きたい理由・・・亜紀ちゃんだけに教える」
「別に興味ないし」
アタシがそう言うと、永原は鞄の中から
封筒を取り出し、それを渡された。
「何の封筒?」
「空けて」
「じゃあ・・・」
言われた通りに封筒を空け、
中の紙を取り出した。
一瞬目を疑った・・・まさか、永原が。
「骨に腫瘍が見つかったの。良性だって」
「・・・治療すれば治るんだろ?」
「治療はしない。お金に余裕が無いから」
「じゃあ、死ぬのを待つのか?」
「ううん。お金貯めて、治療が出来るようになるまでは、絶対死なない。生きないと・・・真里が1人になっちゃう」
ただ生きたいと願うよりも、
過酷な願いを秘めていた。
いつ死ぬか分からないのに、
永原はいつも笑っている。
その裏にはいつも苦しみがある。
微かに思い始めていた。
永原のそばにいて、支えになりたい。
友達になりたい。
「クラスの皆とかには・・・」
「口堅いから」
永原はありがとうと呟いた。
「家こっちだから、またな」
この時からかもしれない、
アタシが変わり始めたのは。