食後秀樹は部屋に戻り、ベットの上に寝そべっていた。

幾度となく寝返りを打つ。
そして、頭を抱えた。


「兄貴何やってん?」

机に向かっていた直樹が見かねて声を掛けた。

でも、秀樹は首を振った。


(――知らなければそれで済むって問題でもないのに)

でも直樹には言えない。

秀樹は体を半分起こしてうずくまった。


美紀が本当の兄弟じゃないと知って、秀樹はもがいていた。

どうしようもないほど、心が乱れていた。


(――何なんだよ!
美紀は妹なんだ。

――血の繋がりは無くたって、妹なんだよ!)


秀樹の頬を涙が零れる。

秀樹は直樹に見つからないように、そっとそれを拭いた。




 しょうがないから、どっぷりと風呂でも浸かりながら考えようと思い秀樹は風呂場に向かった。


脱衣場は暗かった。

ボーっとしていた秀樹は、電気もつけず服を脱ぎ初めていた。


――ガタン

その時、いきなり風呂のドアが開いた。


「キャー!」

鉢合わせをする二人。


――ザッブーン

美紀は慌ててバスタブの中に逃げ込んだ。


――パチン
秀樹は思わず浴室の照明を点けていた。


「何考えてるこのドスケベ!」

「そりゃこっちのセリフだ! 電気ぐらい点けて入れ、お前の裸なんか見たくもない!」


「だったらそこどけよ」

美紀に言われて秀樹はハッとした。
裸でボーっと立っている自分がいた。




 「何だ? どうした?」
騒ぎを嗅ぎつけ正樹と直樹が駆けつけてきた。


『覗きだよ』
ドアの向こうからぶっきらぼうに美紀が言う。


その言葉を聞いて、秀樹は頭を振った。


「こいつが暗くして入ってたんだ。俺は悪くない。」

秀樹は興奮していた。