考えた末、やっぱ無理だと思ったあたしは『宛先を間違えています。』だけ送り、スマホを閉じた。






いやー、恐ろしい!何が恐ろしいって昨日の今日であたしに会おうとしてる恭平が恐ろしい!!





あれは結局なんだったの!?からかうため!?からかうためなの!?





ピコンッとなんともつかない通知音にスマホを再び開くと、『間違ってねえよ。とりあえず早く来い。』の文字だけ。






………なんっなの!?もしかして恭平昨日の記憶ないの!?馬鹿なの!?頭いいくせに!!






「お、おおおおおお母さーん、きょ、恭平が朝練ないから一緒に行こうって…」





「あら良かったじゃない。ほら待たせない!いっつもボーッとするから遅れるのよ、行って来なさい。」





そう言ってバックを渡される。






いや、あの、ほらあたしの目わかる?今ね結構助け求めてるよ?ね?






それに気付いてるのか気付いてないのか、「恭平くんと仲良くね」だけ言って笑うお母さん。






お母さーん!!!お母様あああああああー!!!








あたしの心の叫び虚しく、渋々靴を履いて玄関を出た。







…やっぱ、諦めって大事だと思うんだ。