「ただいま〜」
「あ、舞香おかえり〜っ」
「お母さん、あたし今からほんの数分恭平ん家行ってくるね〜」
「はいはい、行ってらっしゃい」
お母さんにそう言われたあたしは階段を上がって2階にある自分の部屋へと向かう。
恭平ん家行くって言って、部屋に向かうのはまあ一般から見ればおかしいでしょう。
だが、あたし達の場合はおかしくないんだな、これが。
ベランダに繋がってる部屋の窓を開け、外へと出る。
手すりに、よっと飛び乗って恭平の部屋のベランダへとうつり、
無事に恭平の窓の前に立つと、いつも通りレースカーテン?的なのがかかっていて見えずらいため、
気付いてもらえるように窓を連打。
これコツがあってね!グーだから!連打する手はグーだから!!
んん〜、さすがにこう生まれた時から幼馴染やってればこういう手順も慣れてくるわけですよ。
「舞香、相変わらずうるせーな。」
まあ、はい。すると恭平が中から鍵を開けて部屋に入れるって訳ですよ。いえい。
「いいでしょ!今日はちゃんと用事があったんだから!」
いつもは大した用事ないけど!
そのまま毎回あたしがきた時は、あたし専用になってるようなクッションに座る。
「…で、用ってなんなわけ?」
「今日ね、図書館の先生と一ノ瀬くんで話してたんだけど、夏休みに学校で花火大会的なのがあるんだって。だから恭平も行くよね?って話。」
「はあ?てか、一ノ瀬って…優紀だろ?」
「そうそう。恭平行くよね?行くよね?行かないとは言わせないよ?」
「あー、もう、分かった!行くから!」
ずいっと顔を近づけて迫れば諦めたようにいう恭平。
ふふ!恭平こうすれば何故か弱いって知ってるもんね!