「……あ。じゃあね、シンデレラ!」



その人は、少し離れたところからこちらを振り返っている。


そして、顔の高さくらいまで手をあげている。すごく 優しそうな笑顔を浮かべて。


……うわぁ、王子様みたいな笑顔!



「……王子様!!」



あの人の笑顔に胸がきゅんと音をたてた。私の頬は、みるみると熱を持った。


それは、もうゆでだこみたいに。




ーー……私の前に現れたのは、噂の王子様じゃなくて、お伽噺の中の本物の王子様みたいな人でした。