「詩織はいつもさ、坂井先輩が私の事好きかもー、とか、電車によくいるかっこいい人から告白されないかなーとか…」




「あるかもしれないじゃん!」



香奈に言い返してはみたけど、自分でもそれはわかってた。




「夢みたいな話だよね〜」




「彩乃まで…」



だって好きな人が付き合えない人なんだもん、仕方ないじゃん!




「だからって、妥協しろってこと⁉︎」



「詩織の場合、ちょっとは妥協しないと。理想高すぎだもん、詩織の理想の人なんかそうそういないよ!」




やっぱり有村の事が頭をよぎる。



でも有村と付き合うのはちょっとじゃなくてかなり妥協しないとできないもん!





そう思ってはいるけど、私の心の中の有村の存在が大きくなっていることは間違いなかった。




かといって、それが有村のことを好きって事かというと、よくわからなかった。