「ツバキ!」 桐が俺と楓の脇を通り、駆け寄る。 「大丈夫⁈」 少し興奮気味の桐の言葉に こくりと頷くとあいつは起き上がった。 長い髪がサラリと肩から流れ落ちて、 それをあいつは耳にかける。 それが妙に艶っぽくて、 こんな時だというのに とく… 胸が音を立てた。 「ハル…」 桐の頬を撫でて、あいつはこちらを見る。 「気をつけて」 そうつぶやくように言うと、縋る桐の頭をぽんぽんと叩いた。