「ちょ…カエデ⁈」

俺は思わず楓を振り返る。

肩を組んでいたので、うっかり振り回す形になってしまった。

楓は、小さな遠心力でもって、思った以上にすっ飛んだ。

否。

あいつにぶつかって倒れた。


「いっっ」


小さく悲鳴をあげたのは楓の方で、あいつは黙って寝転がっている。


「ごめんっ」


慌てて駆け寄って、楓を引き起こす。


「大丈夫か?」


「ああ」


床についた手を擦りながら楓が頷いた。






「ハルも…ごめん」