そんな出会いからもう、2年が経った。毎日の日課に、彼と話すという項目が増えて、当たり前になっていた。今も変わらない、彼の子どもみたいな笑顔と、金髪、綺麗で整った顔。ただ変わってしまったのは、彼の身体だった―‥
お父さんに聞いた、彼の身体は、これ以上の手術には耐えられない...普段の生活に支障はなくても、どんどん衰弱していき、そのまま...。考えたくない。どうして逢なの?何度神様に聞いたかわからない。けどその答えは見つからなかった。神様は、その人が乗り越えられる試練しか与えないって...死んだおばあちゃんが言ってた。そんなの...嘘なんだ...。だって、現に彼は、逢は、病気と戦って、限界に来てるんだよ...?それなのに...。神様、貴方は彼は失敗だったと言うことですか...?そんなの、神様の勝手じゃないですか!!あたしは神様なんて、信じない...神様だったら、逢の病気を治してよ!!元気だった頃とは言わないから...せめて、あたしが彼に会った時間まで、逢の身体を戻してよ!!何度神様に頼んだのかな...でも、何も変わらない。だから、信じない...。

「何泣きそうな顔してんだよ。」

顔を上げると、売店でレジを済ませた逢の姿があった。

「何でもない。」

2人並んで、病院内を歩く。医者や看護師からは、お似合いのカップル、なんて言われてるけど、そんなんじゃない。よく言えば親友。悪く言えば腐れ縁、かな?

「お前も食うだろ、ちくわパン。」

あたしの前でレジ袋をちらつかせながら聞く。

「当たり前でしょ〜!」
「太るぞ。」
「うっさい!!」

当たり前のように隣にいるから、だからこそ、失うのが怖い―‥
この毎日も、あと半年もすれば終わっちゃう...。また考えると、涙が出そうになって、オーバーに笑顔を作る。でも、目の前の逢の顔が歪んで見えた。