「はい!!」

シルクハットから飛び出すぬいぐるみに歓喜の声をあげる子どもたち。一見元気そうに見える彼らだけど、重い病気を抱えていて、退院できない子たちばかり。

「つぎはつぎは〜?」
「はやくして〜え!!」

騒ぎ始める彼らに、顔をゆるめると、看護師さんが入ってきた。

「はいはいみんな〜!病室戻ろうね〜!」

その言葉に、あちこちからブーイング。そして...

「じゃあ、最後に千乃ちゃんに歌ってもらおう。」

いつも通り、最後は彼らと一緒に歌を歌う。この歌は、あたしが作った、みんなのための歌。

「せ〜の!」

《いつも元気な僕たち
いつも優しい私たち
ケンカしたっていいけど
最後はみんなで仲直り
いつまでも友達
みんな友達
新しい友達も
すぐになかよし
みんなみんな
大好き
大好き!!》

歌い終わると、みんなは満足そうにゾロゾロとこのプレイルームを出て行く。
ピアノの椅子に座ったまま、あたしは手を振りながら、振り返してくれる彼らに笑顔を向ける。本当に、みんなが病気だなんて思えない、小さな、でも大きな彼ら。あたしは今まで、急にここに来なくなるみんなのお友達を知っている。神様は、どうして彼らを選んだのだろう...アンタは、乗り越えられる試練しか与えないって、そう誰かが言っていた。でも、そんなの嘘じゃん...乗り越えられない試練だってあるんだから...。