しかし、中園はもうすぐ定年
という年だ。
なかなか恋愛や不倫の
イメージがわかない。
それだからこそ共通の趣味の
キスミントで雑談を愉しんでいた
のかもしれない。

少し冷静になろう。
ホールズを口に入れた。
しかし冷静になると
更なる疑いが出てきた。

神田はもうそれに気づいている。

「先程「とんとん」に行く途中
で中園専務から電話がかかって
きましたよね」

私は上司だから一応神園の
携帯番号を入れているが神園は
私の携帯番号は知らないはずだ。
部下にも彼だけには番号を
教えないように釘をさしておいた。
もちろん神田にもだ。
なぜ、彼が知っているんだ。

「私の憶測だと奥様を監禁し、
携帯電話を奪い部長の携帯番号を
メモした。
奥様の携帯から発信すると
着信履歴が残ってしまうので
中園専務自身の携帯で。
そして部長が電話に出たのならば
身代金を要求したと考えられます。
奥様を人質にとっているので
あれば部長も下手に警察へは
連絡できないでしょう」

ズバリと神田は言った。

思っていたことが神田と
合致してしまった。
しかも最悪な方向へと。

私はまたホールズを舐め考えた。