お互いいろいろと考えを
めぐらせていると
神田が何かに思いついたようだ。
言いづらそうに神田は言う

「大変言いにくいのですが、
奥様の浮気は考えられませんか?」

私は目を丸くして神田を見た。
突然の彼女の発言にびっくりしたのだ。

「なぜそう思う。妻には君も
会っているだろう。料理も上手いし
子供の世話も家の管理も妻
としての役割をしっかりしてい」

ベンチに手のひらを叩きつけ
私の話に割り込み神田は言った。

「部長!目をそむけないで
ください!先日部長の家に招待
されましたが他にある人がいた
ではないですか。」

私は表情を険しくし、
彼女らを招待したあの日
を思い返した。
ホールズを舐め思考回路を
隅々までめぐらせて見た。


………。



そういえば、他にあの男がいた!

中園だ!

私のはっとした顔をみて
神田は言った。

「思い出しましたか?部長。
中園専務が一緒にいましたよね。
そのときは奥様は中園専務と
楽しそうに談話していました。」

さらに思い出してきた。
その談話の内容はキスミントだ。
私のホールズ好きを知っていて
あえてキスミントの話題を
愉しんでいた。