まずは神田から話を切りだした。

「奥様が失踪したのは何時頃でしょうか」

「夜の11時頃だ。用事があるのでコンビニエンスストアへ行くと言って出ていってそれきりだ。言っておくがけんかや言い合いはしていない。誤解しないでくれ」
私はうつむき加減で言った。

「その用事さえ解れば解決の糸口になるのですが。そのコンビニエンスストアというのは嘘をついているのかもしれないですよ」

ホールズを口にもう一つ含み神田は言った。

確かに嘘をついているかもしれない。神田がそう思うのも無理はない。
当の私でさえ、もしかしたら闇金に借金をしている、私に愛想をつかして実家に帰ってしまったなど嫌なイメージが昨晩から先行してしまっている。