人や車の通りが少なく辺りが静かなので、
私の携帯電話だとすぐに気がついた。
私の胸は高鳴った。

もしかしたら妻かもしれない。

そんな淡い期待は見事に打ち砕かれた。

専務の中園からであった。

「しまった」

思わず口にしてしまった。

中園と言う名前をみて思い出した。
実は午後1時半から緊急会議を
予定していたのだ。
私も参加する予定であった。

「どうかしました?早く電話に出られたらどうです?」

神田に促され私は目で頷いた。
しかし時間は2時半を過ぎている。
今更言い訳が通用するわけがない。
電話にでようかでまいか考えてるうちに
諦めてくれればいいのだが。