「部長。飴なめますか?」

ああ、確かに気分を変えたいときには
いいかもしれないがそんな気分ではない。
ハイチュウに比べれば幾らかはスッキリ爽快だが今、
この状況下ではホールズには手は出せやしない。

「ありがとう。今はそんな気分じゃないんだ」
「じゃあ、私舐めちゃいますね」

あっさりと言ってのけ事務の神田は
手に持ったホールズの封を開け
ヒョイバクッと口の中へと滑らした。

「どうかしたのですか?」

など、気の利いた質問でもしてくると
思っていたが面食らってしまった。
ホールズもらえば良かった。

とは思わない。

神田は入社5ヶ月の女性社員だ。
しかも私とは20才近く離れている。
以前から気の利かない社員だと
思っていたが、今日は何かしら
一言ほしかった。