階段を一段飛ばしで駆け降り、一階につく。
あたしは靴箱の近くに備えられた大きな鏡に近寄った。
制服のシワを伸ばし、リボンの位置を直す。
なんてったってこれから那央くんとデート(自分が思ってるだけ)なんだから!
ちょっとでもマシにしときたいし。
あたし、萩村 沙穂は、そんなに可愛いわけじゃない。
中の下くらい、だと思う。
二つに結った髪が玄関からの風に揺れた。
もうそろそろ、暑くなってきたな。
もう、六月だもんね。
那央くんとアイスとか食べたいな♪
あたしが那央くんと付き合ったのも、ちょうど去年の今くらいだった。