「うんっ!あ、あたし先に下降りとくねー。靴箱のとこだよ?」


「はいはい」


生返事をしたのを確認して、あたしは教室を出た。



何で一緒に降りないのかって?


うん

まあ、だよね。


当然の疑問。



これはあたしから那央くんへのちょっとした恩返しの一環。


ほら、高校生って友達とかと青春!

うぇーい!


って感じじゃん?


本当なら友達とわいわい帰ったりするんだろうけど、あたしのワガママで那央くんの下校の時間はいただいちゃってるわけで……。


それについてのごめんねの意味で、あたしはいつも約束をした後はおとなしく一人で玄関に向かうのです。



なんて、気を使ってはいるものの、それじゃ足りないくらいなんだけどね。