「さあ、あがりなよ」




トムたちが、えんりょの言葉をつたえる前に、それはさえぎられてしまいました。




「あら、おきゃくさん?」




げんかんのおくから声がしたのです。




その主は小さくて、とてもあいらしい赤ちゃんをだいていました。




長いかみをよこでみつあみにした、やさしそうなふんいきのお母さんです。




「ああ、この村にかえってきたらしいんだ」




「まあ、そうだったの。どうぞあがっていって?」




トムとクレアはかおを見合わせます。




「じゃあ、おじゃまします」




トムは、“お言葉に甘えようよ”と、




小さな声でクレアに笑いかけました。