トルルはこまったようにわらうだけです。




トムは、昼間あった男のことを思いだし、むしょうにはらだたしく思いました。




「どうして、どうしてぼくらだけしあわせにしてくれないの?」




トムの声がふるえます。



風が、まどをたたきつけました。




かぶっていた青いぼうしをとると、ひざの上におき、




ぎゅっとにぎりしめました。




「……ごめんね」