顔を上げる美保はやっぱりまた泣いていた。
「…楸が私のこと好きって言ってくれて嬉しかった!私も楸のこと好きだよ」
やっぱりさっきのは幻聴じゃなかった…
美保が俺のこと…?
っ!!////
分かった途端、俺は顔が熱くなるのを感じた。
「だから…さっき別れてきたばかりで軽い女に見られるかもしれないけど…私と…
「ストップ」
…へ?」
俺は美保の言葉を遮った。
美保が言いたいことが分かった俺は、
美保の口から聞く前に俺が伝えようと思ったんだ。
「その続きは俺に言わせて?」
「え…あ、うん////」
美保もわかったみたいで、素直に頷いてくれた。
「俺と付き合ってくれますか?」
「はい…///」
そして、夕日に染まる誰もいない教室で
俺達はキスをした。
両想いになって初めての帰り道。
見慣れた景色がいつもと違って見えるのは
好きな人と…楸と帰るからかな?
なんて思う私は、相当、楸のことが好きなんだな、って実感する。
なんで、今まで気づかなかったんだろ?
ううん、気づかない振りをしていただけなのかもしれない…
だとしたら、私は馬鹿だったなって…
「美保…」
すると、隣で楸が私の名前を呼んだ。
次の言葉を待っていると…
手をぎゅっと握られる。
え…
「恋人つなぎ、しよっか」
そう言って指を絡める楸に
「うん」と小さく頷いた。
私は今一緒に帰る時間が夕方で良かったな、なんて思った。
だって、私の顔は今絶対に赤いはずだから…。
―――ずっと前から一緒にいた私達は
ずっと前から好き同士で
でも、遠回りして、
実らせた…
甘くて酸っぱい、
【幼馴染との不器用な恋】。
.END
俺は分かっていた。
美保にフラれる前から…俺はいつかフラれることを。
何故かって?
それは…美保の目にだんだんと俺でない誰かを映していたから。
最初からでなかった。
でも、時間が経つにつれ、わかったんだ。