幼馴染の不器用な恋




「美保…っ、ごめん…俺のこと軽蔑してもいい。嫌いになってもいい…ごめんな、彼氏と幸せに」



思っていない言葉を並べる。



自爆とはまさにこのことをいうのだろう。



俺は最低な男だ。



俺を見てくれないからって



美保に酷いことした。



彼氏がいる美保にキスをした。






嫌われても当然のことをしたんだ。



素直に受け止めよう。



例え、美保が俺のこと嫌いと言ってきても…



俺が悪いのだから…。



そして、もう



美保と距離を置かなければ…



だから、あんな思ってもいない言葉を並べたんだ。






…美保、いい加減気付いてくれよ。



俺、お前のこと



ずっと前から好きなんだぜ…?



ふと心の中で呟き、



美保よりも先に鞄を持って教室を出た。






楸の背中の後を見つめたまま、私はへなへなと床に崩れ落ちた。



バクッバクッバクッ…



まだ胸の高まりは収まらず、



それどころかさっきより増すドキドキ。



…楸、なんであんなことしたの?






ねぇ、楸…



楸の気持ちがわからないよ…。



「…ぐすっ」



涙が止んで、冷静にでもどこか少し混乱している頭の中。




ねぇ、今のはなんだったの?



なんであんなに悲しい顔で私のことを見るの?



…もしかして楸は、私と同じ気持ちなの?



あのね、クラス発表のとき、



頭撫でてくれたでしょう?



あれね、凄く嬉しかったんだよっ?







いつも、夏貴(彼氏)の話するとき



放課後一緒に残って聞いてくれてたでしょう?



それも凄く嬉しくて



私にとって幸せな時間だったんだよ?



そう、夏貴といる時よりも…






いつの間にかね、楸といるときの方が



心地好くなっていたんだよ。



昔もそうだったはずなのに…



どうしてかな?







私は、楸がずっと友達でずっと近くにいられると思っていた。



けど、楸がモテ始めてから…



私は"幼なじみ"という存在しかないんだ。



って思ったら



何故か、悲しくなっちゃって…