幼馴染の不器用な恋




同じクラスになってから美保とまた前のようによく話すようになった。


あの1年間はなんだったんだと思うくらいに。


そして、1年の時に比べて


変わったことがもう1つ。


それは……






何故か


美保の彼氏に


目をつけられた。こと。


周りからみたら


俺は美保の彼氏にみえるようだ。


できれば、そう(彼氏)なりたいが…。



毎回、俺と美保の会話に彼氏がつっかかってきた。




全然心配する必要なんてないのに…


美保は裏切らない。



まして俺のことを好きになるはずがない。



なんで、こんな言い切れるのかって?



そりゃあ、毎日相談+惚気聞いてるからね。



少しは


俺の気持ちも考えろって話しだよ。






「それでねー夏貴が…って楸、聞いてる??」


「…あぁ、きいてるよ」


夏貴、夏貴


うるさい。


なんで、俺が美保の


彼氏の話なんか聞いてんだろ…







発端は、美保の彼氏が浮気してるとかなんとかで


相談されたのがきっかけだった。


俺が美保のこと好きなんて


コイツは思ってもいないから…



そもそも、



なんで、気付かねぇんだろ?






彼氏よりも先に美保のこと好きになったのは


俺のはずなのに…


なんで俺じゃないんだ。



沸々と沸き上がる怒り。


気付けよ…


俺のキモチに気付けよ…



悲しく心の中で呟く。





「あ、あとね!来週から夏休みでしょう?夏貴とね、泊まりに行くんだけど楸は何かお土産いる?何がいい?」


ニコッと笑いかける美保を見て


抑えていた理性が崩れる。


俺は


美保の手を掴み壁に追いやる。





「し、楸…?」


「…っ、な…でだよ」


「…え、何きこえな…」


俺はもう自分を抑えていられなかった。



好きな女が彼氏と一緒に泊まりなんて聞いたら


誰だって平気でいられない。





「…なんで、夏貴なんだよっ」


「…え」


「なんで…俺じゃねぇんだっ!!」


そう言って今度は


美保の腕を片手で上にまとめて抑える。


そして無理矢理、


美保の唇を塞ぐ。